一筆なのは”胴体”だけじゃない
こんにちは、永田です。
この写真は、京都一筆龍 手島さんが描く龍の顔です。
筆の流れをよく見ると分かるのですが、
全てのパーツ(髭、目元、口元など)、滑らかな線が一筆で描かれているんです。
当然、下書きなどはなくて、
まっさらな紙に顔やその配置をイメージしたら、
細筆を扱いながら描いています。
絵をデッサンするときは、
顔の輪郭をシャッシャッと何本もの線で描き
輪郭を表現することがありますが、
一筆龍でそれをやってしまうと、
胴体は一筆なのに顔だけがデッサン画のようになり、
一筆で描いた胴体との乖離により、バランスが悪く浮いてしまいます。
どれだけ配置バランスを意識しても、
いかにもごまかしながら描いた素人っぽい絵になるんです。
手島さんの描く龍はまるで生きているかのように
滑らかで動きがあるのですが、
こういった熟練の技があるからなのだと思います。
髭部分はとくにですが、滑らかに迷いなく描かれています。
それを筆で表現するのは本当~に難しいんです。
手島さんは「一日に3枚程度しか描けない」と言いますが、
それだけ集中力が必要なことなんですね。
手島さんの一筆龍を初めて見たときの感動は今でも覚えていますが、
こうやって一つ一つのパーツを詳しく見ていくと、
その技術と想いの集大成がたった一枚の絵に込められているからこそ、
人の心を震わす力があるんだな~と感じます。
人を感動させる、魂を揺さぶることには、必ず裏付けとなるものがあるんですね!